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【医療コラム】獣医師が解説!犬の「緑内障」特徴と治療法「八雲動物病院:北村院長」
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はじめに
「犬の緑内障」という病気は、犬の目にとって深刻な問題です。
犬の視力を徐々に奪い、最悪の場合は失明に至る可能性もあります。
本記事では、北海道の「八雲動物病院」北村 康也院長より、
犬の緑内障の症状や原因、治療法について詳しく解説します。
愛犬の健康を守り、緑内障の早期発見と適切な治療につなげるために、ぜひお読みください。
🔽今回の先生です
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はじめまして。
八雲動物病院の北村 康也と申します。
簡単にですが、犬の緑内障という疾患についてまとめてみました。
飼われているワンちゃんがもし緑内障かなと疑われる、
あるいは緑内障になってしまった時に、この記事が少しでも
お役に立てれば幸いです。
イヌの緑内障ってどんな病気?
ヒトや動物の目の中は房水と言われる液体で満たされていて、常に新しい房水が作られています。
産生された房水に対応するように、一定量が排出されることによって、眼の構造維持や機能などの
恒常性が保たれています。
イヌの緑内障はその房水の排水機能の異常によって、眼圧の上昇が起きて
視神経や網膜にダメージを与え、視覚消失に至らしめるやっかいな眼疾患の一つです。
緑内障には、眼圧上昇がおきる主な原因によって原発緑内障、
続発緑内障および先天緑内障(まれ)に分類されます。
原発緑内障には犬種の罹患傾向が認められていて、その代表的な犬種には柴犬、
アメリカン・コッカースパニエル、バセットハウンドなどが挙げられます。
また、続発緑内障とは、カメラのレンズに相当する水晶体の疾患(白内障や水晶体の脱臼)、
ぶどう膜炎(眼内の炎症)および眼内新生物などの疾患によって
房水の排出の障害が起きることによって発症します。
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緑内障の症状には?
イヌの緑内障でよく見られる症状には、俗に赤目といわれる目の充血(血管の怒張)、
眩しそうな表情をする、目を擦る、眼圧上昇による痛みからの食欲や元気の消失、
頭や顔をさわると痛がるまたは触らせないなどが主な来院の理由です。
緑内障のイヌの場合、初期の段階から上記に示した症状が現れることが多く、
これらの症状のうち1つでも当てはまる場合は、早めにかかりつけの動物病院や
眼科を専門とする獣医師に相談することをお勧めします。
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緑内障を診断するには?
緑内障を診断する検査には検眼鏡を用いた眼検査が基本となりますが、
イヌの緑内障は眼圧の上昇を認めることで確定診断が行われるため、
眼圧測定器による眼圧の測定検査が必ず必要です。
現在は操作性の良い眼圧測定器が比較的安価で購入できるようになり、
以前よりも多くの動物病院で眼圧測定が行えるようになってきていますが、
念のためかかりつけの先生受診される際には、眼科検査の装備の有無は確認しておくべきでしょう。
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(写真)眼圧測定の様子。眼内の炎症の有無や緑内障などの診断に役立ちます。
その他の検査と同様に、ほとんど痛みを伴うことがありません。
緑内障の治療について
緑内障の治療は、罹患眼が急性期か慢性期なのか、その目は現在視覚があるのか、
視覚喪失が認められるが治療によって視覚の回復を望めるのか、
またすでに視覚が消失しているのか、眼球が大きくなってしまっているかなどの
各ステージや症状によって治療方法が異なります。
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(写真)実際に診療している様子
視覚がある場合の治療
急性期では眼圧を低下させる点眼薬を用い、できるだけ早く正常範囲内に眼圧を下げ、
その状態を維持することが必要となります。また、場合によっては細い針を目に刺入し、
眼房水の排出を行う前房穿刺といわれる処置が必要なこともあります。
急性期に対する治療によって一度眼圧が正常化できたとしても、決して大丈夫ということではなく、
眼圧のコントロールを行うための継続的な点眼治療や、房水を排出させる外科的な治療が必要なため、
視覚を維持するための治療は長期間必要だという覚悟が必要です。
そのため、飼い主さんと獣医師との密接な信頼関係の構築が必要です。
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(写真)バルブインプラント手術を行った緑内障眼。チューブが確認できる(矢印)
視覚消失または眼球拡張が認められる場合
緑内障の慢性期になると、特に比較的若いイヌでは
眼球拡張(専門的には牛眼とよばれる)が認められます。
眼球が拡張しているということは、すでに目の中に重大な組織変化が生じているため、
視覚の回復は望めません。さらに、大きく前方にとびだした目による外観の変化や、
不完全な瞬きにより、涙液の被覆が不十分となる結果、角膜の疾患が引き起こされます。
このような緑内障末期の目に対する治療として主に3つの治療方法が選択されます。
1つめは眼内の組織を取り除き、その後シリコンボールを挿入して、
目の形を正常に近づける方法です。
比較的術後の合併症も少なく、飼い主さんの満足度が比較的高い治療です。
しかしながら、術後の角膜の知覚が低下し、涙液減少をひきおこすことがあり、
長期間の角膜保護を目的とした点眼が必要になるケースもあります。
2つめは眼球摘出です。緑内障の原因として腫瘍が考えられる症例や、
治療後のメンテナンスを行う必要がないメリットがあるため、しばしば行われる手術方法です。
3つめは眼内に薬剤を注入し、房水産生を担っている毛様体という組織に
ダメージを与える方法です。この方法は上記の2つの方法と異なり、
鎮静下での処置で行えることもあり、高齢犬や基礎疾患をかかえ
全身麻酔の危険度が高い症例に適応される手技です。
この手技は、眼球サイズの調整が困難で、想定していたものより小さくなってしまうなどの
デメリットがあります。
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(写真左)シリコンボール義眼手術を行った犬の右眼 (写真右)手術治療の様子
定期的な検眼の必要性
イヌの緑内障は、発症早期にさまざまな症状が現れる疾患のため、
気になる症状がみられた場合、すみやかに動物病院に相談してください。
また、症状がみられなくても、定期的な眼検査を行うことによって、緑内障に限らず、
肉眼ではわかりにくい眼疾患を発見できる可能性があります。
上記以外でも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
今回のテーマ「獣医師が解説「緑内障」の特徴と治療法」について、ご紹介しました。
もし不安を感じる場合は、迷わずに獣医師に相談するようにしましょう!
施設情報
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